人的資本
企業理念「人を大切に、技を大切に」が表すように、当社にとって「人」は日本化学らしいサステナビリティ経営を遂行し、発展させていくために大切な「財産」と認識しており、それを担うことができる多くの人材を育成していくことが重要と考えております。
そのために、中期経営計画(2024-2026)に掲げる方針「成長戦略の推進と新たな価値の創造」に基づき、「事業拡大と体質強化」、「グローバル化の推進」、「新たな価値の創造」の3つの重点施策を実行できる人材の育成を目指し、人材戦略として3つの方針「多様な人材の確保」、「人材の育成」、「職場環境の整備」を掲げました。また、個の育成にとどまらず、組織全体を育成するという当社独自の考えの下で、会社全体をレベルアップさせ、サステナブルな企業体質を築いていきたいと考えております。
ガバナンス
人材戦略に関しては、取締役会で決定した経営戦略を経て、経営トップである代表取締役社長をはじめとする執行役員で構成された経営会議にて、具体的な課題や施策(重要な組織の新設と改編、人事制度の改革等)に関する検討と決裁、進捗状況の確認を実施しております。
また、定期的に経営会議から取締役会に報告し、取締役会は報告を受けた内容に関してモニタリングし、監督しております。
戦略
組織の発展につながる人材の拡充を実現するためには、様々な能力を持つ人材の確保と社員一人ひとりの成長が重要です。
社員の自律的なキャリア形成を後押しする体系的な教育体制を整えております。
また、社員の自発的行動を促し、組織全体を育成するという当社独自の観点からコーチング・プログラムを展開しております。
さらに、多様な働き方やワークライフバランスを重視した職場環境の整備を進めるとともに、健康経営や労働安全衛生の推進にも取り組んでまいります。

①多彩な人材の確保
変化の激しい事業環境に対応していくためには、多様な視点や経験を活かすことが必要です。≪女性活躍推進≫≪キャリア採用推進≫≪外国人採用推進≫を実施し、サステナブルな企業体質を目指します。
≪女性活躍推進≫
女性活躍推進においては、女性が仕事と生活を両立しながら活躍することを推進しており、女性活躍機会の拡大は、今後の当社の成長戦略には欠かせません。しかし、当社人事制度における総合職および管理職に占める女性社員の比率は2024年3月末11.1%で、依然少ない状況であり、女性社員を増やしていくこと、並びに女性社員の育児離職を防ぐことが重要な課題であると認識しております。女性管理職比率の向上を目指し、新卒採用(大卒以上)の女性比率を2026年度の目標として30%以上とする取り組みを推進しております。
≪キャリア採用推進≫
多様な価値観や高度な専門性を持った即戦力となる人材を確保するため、キャリア採用を積極的に実施しております。
採用者全体(大卒以上)に占めるキャリア採用の割合を2026年度の目標として20%以上とする取り組みを推進しております。
≪外国人採用推進≫
外国人の雇用については海外子会社を中心に採用をより一層進めます。
②人材の育成
社員教育は、会社の成長を支える大切な要素のひとつです。「成長戦略の推進と新たな価値の創造」の実現に向けて、社員一人ひとりが最新の知識やスキルを身につけ、業務遂行上必要な知識・技術・技能を修得し、能力向上を図るため≪体系的教育制度≫を設けております。また、「未来に続く日本化学」の実現に向け「何が必要で、それはどうしたらできるのか」を一人ひとりが考えて動くことのできる組織づくりを目指すため、≪コーチング・プログラム≫を実施し、社員の自発的行動を促進してまいります。
≪体系的教育制度≫
日常の業務活動を通じて、それぞれに必要な知識・技術・技能の向上を図る職場内教育(OJT)に加え、新入社員から幹部職までの階層別研修や、職層にかかわらず業務を遂行するうえで必要となるスキルアップ・プログラムやグローバル人材育成プログラム等に注力し、教育機会の拡充を図っております。当社は、以下に掲げる「教育基本方針」のもと、下記の「教育体系図」・「階層別教育体系図」に示す通り、教育の機会を提供しております。また、個人の育成では、多様な教育・研修の場を提供しているほか、化学系資格取得支援として公害防止管理者や危険物取扱責任者等の資格取得について積極的にサポートしております。その結果、化学系資格取得者の割合は徐々に増加しております。さらに、グローバル人材の育成としてオンライン語学研修制度や海外トレイニー制度を導入しております。管理職上級者に対しては、次世代の経営人材育成のため教育制度の充実化を図ってまいります。
当社の教育基本方針
- 教育は、会社の方針に沿って、計画的・組織的かつ継続的に行う。
- 能力育成は、社員各自が向上意欲に燃え、自己啓発に努めることによって、その成果が期待されるものであり、会社は機会を捉えて必要な施設および援助を行う。
- 指導的立場にある者は、能力育成の環境を醸成するとともに、常に率先垂範して自己啓発に努めなければならない。


≪コーチング・プログラム≫
当社では、人材育成の一環として「未来への種まきプロジェクト」と称したコーチング・プログラム(「対話」を通して企業 課題への解決策を模索する組織力向上プログラム)を2021年度から毎年実施しております。このプログラムでは、組織を越えたコミュニケーションの機会を意識的に増やすことにより、社員一人ひとりが自立し、考え、動くことで組織全体が育成されていくことを目指します。
③職場環境の整備
社員がやりがいを持ち、互いに尊重し合い、心理的に安心して働ける職場の実現を目指します。
≪ワークライフバランスの充実≫
多様化する働き方やワークライフバランスを重視し、働きやすさの向上につながる職場環境の整備として以下の施策を実施しております。
イ.自己申告制度
職場環境の整備を目的のひとつとした自己申告制度を年に1回実施しております。職場環境の整備につながる申告に対しては各部門の責任者である執行役員が当該社員との面談等を通じて、職場の環境改善に取り組んでおります。また、総合職層には仕事の難易度、仕事の量、仕事の適性、自己の能力発揮度、趣味、やりがいについて5段階で評価してもらい、仕事の満足度を測定しております。さらに、女性ならではの視点から女性が長く働きやすい職場環境を作るために会社に取り組んでほしいことを提案する機会を設けております。今後は、この制度は維持しながらも、社員のエンゲージメント向上を図るため、エンゲージメントスコアの測定と運用の導入を検討してまいります。
ロ.人事制度委員会による制度見直し
社員の代表である労働組合本部と総務人事部による人事制度委員会を年3回以上開催し、社員のエンゲージメント向上につながる制度の見直しを実施しております。委員会で取り上げ、改訂または新規導入されたものとしては、リフレッシュ休暇利用回数の増加、積立年休の限度日数を50日に引き上げ、男性の10日間の育児休暇(有給)の導入、時間単位年休の導入、定年退職時の慰労目的の旅行補助制度の導入等があります。
ハ.賃金改定・賞与(一時金)に関する委員会の開催
社員の代表である労働組合本部と総務人事部による賃金改定・賞与(一時金)に関する委員会を開催し、賃金改定を実施しております。賃上げに関しては、組合の要求に対して9年連続満額回答をしており、2023年の3.32%に引き続き、2024年は5.96%(組合員平均)の賃上げを実施しました。
ニ.各種離職防止制度の導入
育児離職や介護離職を防ぐ施策として人事制度委員会を通じた職場環境の整備に取り組んでおります。その結果、育児短時間勤務制度、所定外労働の制限、時間外労働の制限(1ヵ月24時間 1年150時間)、深夜業の免除は法定以上の期間に改善され、ほかにも子どもの看護休暇・介護休暇の有給化、育児のための時差通勤、学級閉鎖時の有給利用等の制度が整備されました。
≪健康経営の推進≫
社員が心身ともに健康で、その能力を十分に発揮できる職場は、組織力を向上させることができます。社員がチームワークを重視し、主体的かつ創造的な行動をとることで企業の活力や生産性が向上し、家庭生活の充実にもつながります。こうした考えに基づき、健康を重視した経営を推進します。そのため、日本化学工業健康保険組合と総務人事部および安全衛生委員会とのコラボヘルスにより、体と心の健康推進のための施策を下記の通り立案しております。
- 生活習慣病対策としての生活習慣病検診
- 特定保健指導実施率の向上(目標100%)
- 人間ドック補助
- 全女性社員への乳がん・子宮がん検診補助
- 歯科健診
- 健康管理委員会による健康増進のための中期的な計画の立案と実行
- 外部健康相談窓口の設置
- メンタルヘルス対策としてのストレスチェックの実施と改善活動
- ラインケアおよびセルフケア研修
- ハラスメントに関する研修
- ハラスメントに関する内部相談窓口と外部相談窓口の設置
≪労働安全衛生の推進≫
職場の「安全」は最重要課題です。労働災害ゼロを実現するために、潜在的な危険有害性の低減を図るよう取り組んでおります。安全衛生委員会を事業所ごとに月1回開催し、経営者・社員・協力会社が一体となって、安全衛生活動を積極的に推進し、安全で安心できる職場環境の構築に努めていきます。

リスク管理
人的資本のリスクと機会は、サステナビリティ推進委員会がリスクを管理し、取締役会にその内容を報告・提言します。
取締役会はそれを受け、サステナビリティ対応について指示・監督を行います。多様化する働き方やワークライフバランスを重視した職場環境の整備を進めるとともに、社員とその家族の安全・健康を第一に考えた対応を積極的に進めることでリスク低減に努めてまいります。
指標と目標

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